最高裁判所第三小法廷 昭和26(れ)2482 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
被告人A弁護人佐久間渡の上告趣意及び被告人本人の上告趣意は後記のとおりで
ある。
弁護人の上告趣意について。
所論は、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。そして、他人に対し権利を有す
る者が、その権利を実行することは、その権利の範囲内であつて、且つその方法が
社会通念上一般に、忍容すべきものと認められる程度を越えないかぎり、なんら違
法の問題を生じないけれども、右の範囲又は程度を逸脱するときは違法となり、恐
喝罪又は脅迫罪の成立することがあると解するのを相当とする。原判決によれば、
被告人は債務者であるB証券株式会社(社長C)に対し、債権を実行するにあたり、
原判決判示のような手段を用いたものであつて、このような実行方法は、社会通念
上一般に、債務者の忍容すべきものと認められる程度を明らかに越えるものである
から、たとえ取立てた金額は、債権の範囲内であつても、その方法において違法た
るを免れないのである。従つて、仮りに所論によつても、少くとも脅迫罪の成立す
ることは明らかであり、原判示の量刑はその刑期の範囲内であつて、且つ原判決の
認定した事実によれば、その量刑は、原判決を破棄しなければ著しく正義に反する
場合とも認められず、論旨は、この点においても結局とることはできない。
被告人の上告趣意について。
所論は、事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
なお、記録を調べて見ても、刑訴四一一条を適用すべき事由も認められない。
よつて刑訴施行法三条の二、刑訴四〇八に従い、全裁判官一致の意見により、主
文のとおり判決する。
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昭和二七年五月一三日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 小 林 俊 三
裁判官 本 村 善 太 郎
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